私は全世界株式あるいは全米株式のインデックス投資をお勧めしているのですがこの本はこのインデックス投資の内容をわかりやすく解説している本です。投資について全くの初心者の方でも理解しやすい内容になっています。
①投資、投機、ギャンブルと区別する
日本人は投資と聞くと危険なイメージがあり敬遠する人も多いと思います。ただこれは投資と投機、ギャンブルを混同しているケースが多いと本著は指摘しています。投機はFXなど為替レートを介して行う取引で誰かが10万円儲けるともう一方の誰かが10万円損をするという取引に分類されます。両社の損益の合計がゼロになるゼロサム(合計ゼロ)という取引に分類されます。またギャンブルというのは宝くじや競馬など購入者の全体金額が100万円だった場合、払い戻しが75万円になり主催者が25万円を抜くマイナスサム(合計マイナス)の取引になります。投機は誰かが勝てば誰かが負ける、ギャンブルは平均すると購入参加者が全員負けるゲームになります。これに対して 全世界株式あるいは全米株式のインデックス投資は世界全体、アメリカ全体の経済が右肩上がりに成長することを前提に投資する手法でこの前提が成立するのであればインデックス投資購入者全員が儲かるプラスサム(合計プラス)の取引になります。本著では世界経済は多少のデコボコはあるものの右肩上がりに成長しており将来的にも右肩上がりに成長していくことを前提にインデックス投資を行うことは合理的な判断だと記載しています。また平均すると年5%の成長が見込まれ銀行に預けているよりも条件の良い取引になると主張しています。私もこの主張に賛同します。今の銀行預金利率ではいくらお金を預けていても全く増えないのでインデックス投資に資金を投入するのは悪くないと思います。
②インデックス投資はアクティブ投資よりも勝率が高く手数料が安い
インデックス投資 とは日経平均株価やダウ平均といったような指数に連動する投資手法を言います。つまりある一定の指数の値動きと同調する投資手法をインデックス投資と言います。これに対してインデックス投資よりも良い運用成績を出そうとする投資方法をアクティブ投資と言います。こちらは投資のプロと呼ばれるファンドマネージャーがプロの目利きをしながら運用する方法になります。だからと言ってアクティブ運用がインデックス運用より優れているかというとそうではありません。この本にも記載されていますがアクティブ運用の商品の大半がインデックス投資よりもパフォーマンスが劣っているということです。その理由としては2つあり①運用が難しいこと②手数料に差があることが挙げられます。①運用が難しいことですがさすがの相場のプロであるファンドマネージャーであっても将来の株価を読むことは難しく将来的に株価が伸びる銘柄のみを選定することは難しいことが挙げられます。②手数料の差についてはアクティブ投資はファンドマネージャーの給料や銘柄の調査費用などが発生するためインデックス投資に比べて手数が高めに出てしまいます。仮にインデックス投資の成長率が4%でアクティブ投資の成長率が6%だったとしてもアクティブ投資の手数料が3%発生するとなるとアクティブ投資の純成長率は6-3=3%となりインデックス投資のパフォーマンスよりも劣ってしまいます。インデックス投資はある指数に連動して投資を行うので手数料もアクティブ投資よりも低く、手数料の面でもアクティブ投資よりも優れているということができます。ただここで一点、注意しなければいけないことはインデックス投資であれば何でも良いという訳ではなく本著では全世界株式投資に連動するインデックス投資に連動する金融商品を購入することをお勧めしています。決して日経平均やTOPIXに連動するインデックス投資を購入してはいけません。全世界株式は長期的に右肩上がりで成長しているのに対して日本の日経平均などは過去30年間を見ても右肩上がりになっているわけではない為、このような指数に連動する商品を購入しても値上がりを見込めない為です。インデックス投資を行う際はこの点を注意する必要があります。
③長期で保有すればするほど元本割れする確率が低下する
インデックス投資を行う際に重要な観点として「長期・分散・積立」という言葉があります。ここでは長期という言葉に注目しますが全世界株式のインデックス投資の場合、日々価格は上下動しますが長期的に見ると右肩上がりで価格は上昇する傾向にあるため購入後、値段が下がったからと言ってすぐに売却するのではなく10年単位の長期で保有することが重要です。本著でも言及していますが長期で保有するればするほど元本割れする確率は低下していきます。また1年ごとの値幅の変動はあるものの長期的に運用すれば年間成長率5%は達成できる可能性は十分にあり仮に年間5%の成長率で運用できれば約15年間保有すれば資産を2倍にすることができます。このようにインデックス投資は長期的な観点で見れば資産を着実に増やすことができる可能性が高く、できる限り早く運用を開始することが大事であると本著でも主張されています。また実際にどのようにインデックス投資商品を買えば良いかのマニュアルも本著ではパソコン画面の画像付で言及されているので本著を参考にしながら購入を開始しても良いと思います。全体的に重要な内容がコンパクトにまとめられていてこれからインデックス投資を始めようと検討している方には適当な内容の本であると感じました。
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