今回紹介する本は難しいことはわかりませんが、お金の増やし方を教えてくださいです。題名は長いですが対話形式となっていて読み進め易い内容でした。お金の知識が少ない大橋さんが、金融のプロである山崎元さんにアドバイスをもらうとうスタイルになっています。山崎さんはこの他にも著作があり毒舌ですが金融業界の知られていない話を暴露してくれる著作が多いので良く読んでいます。今回、読んでいて印象に残った点は以下の3点です。
①金融商品を実店舗を持つ銀行や証券会社で購入してはいけない
山崎さんは金融業界で10回以上転職を繰り返している業界通ですので金融業界の色々な事情を知っています。そんな山崎さんのアドバイスは実店舗を持つような銀行や証券会社で金融商品を買ってはいけないということです。一般人の感覚だと金融のプロである銀行や証券会社からなぜ金融商品を買ってはいけないか理解できません。しかし実店舗を持つ銀行は私たちが儲かる商品を紹介するのではなく銀行自身が儲かる商品、つまり手数料が高い商品を売りつけてくる可能性が高いからです。彼らは実店舗のテナント代や年収の高い金融マンの給料をねん出するために手数料を稼がなければいけません。この点で彼らと私たちの利害は一致せずノウハウをもっている彼らに言いくるめられて彼らにとって有利な商品を買わされるリスクがあります。また本著でもお勧めしているインデックスファンドの投資信託は様々な金融機関で購入することが可能で手数料のことを考えるとネット証券で購入した方が最も安価であると山崎さんもアドバイスしています。本著ではネット証券の口座開設から金融商品の購入方法など画面の写真付きで丁寧に解説がしてあるのでこの点も有用だと思います。
②ドルコスト平均法は必ずしも有効ではない
ドルコスト平均法とは、中長期投資において一定期間ごとに一定金額で同じ銘柄を購入する投資手法です。 つまり、保有する銘柄の値段が変動しようとも、常に同じ金額を投じることを意味します。一時点で投資をするのではなく長期に一定額を積立、金融商品の価格が値上がっているときは少なく、値下がっているときは多く買うという投資手法です。ドルコスト平均法は多くの方が推奨する投資手法ですが本著では必ずしも有効ではないと山崎さんは言います。山崎さんは金融商品の将来の値動きは誰にも分らずどの時点が買い時、売り時かは誰にもわからない、だとすれば手元にある余裕資金を毎月定額で取り崩すよりも早めに一括購入してお金に働いてもらう期間が長い方が合理的であると言います。私もこの考え方には同意で、そもそも金融商品の売り時、買い時がわかれば投資は必ず儲かるものでそのタイミングがわからないからみんな苦労しているのだと思います。ですので米国株のインデックスファンドなど長期的に右肩上がり傾向の金融商品については目先の上げ下げはあるものの余裕資金は一括して投入した方が手法としては合理的だと考えます。米国株インデックスファンドであれば10年以上保有していれば元本割れの可能性がほぼゼロになるという統計も出ているのでインデックス投資をしている人は手元に余裕資金がある場合は一括で購入した方が良いと思います。
③家の購入はリセールバリューを考慮して検討すべき
山崎さんは住宅の購入に否定的でこれからの日本の状況を考えるとライフスタイルに柔軟に対応できる賃貸を推奨しています。ただ大橋さんは住宅を将来は持ちたいと考えています。そこで山崎さんはどうしても家を購入したい人は資産価値と支払金額を正しく比較して購入を検討しなければならないとアドバイスします。この点は私も同感でたとえ、自分の住居用に購入したとしても1,000万円で売れない物件を3,000万円で購入してしまうとこの時点で2,000万円の損失となり一般家庭の場合は数千万円の損失を挽回するのはかなり難しくなります。住宅購入の場合は理想の住まいや家族の気持ちをなどを考え理屈ではなく感情で判断しがちになるので購入する場合はこの点は注意して検討すべきです。また山崎さんは不動産は金融商品のように流動性が高くないので換金する際にも時間や手数料がかかることも注意しなさいと言っています。
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