アップル製品やサービスには世界中に熱心なファンが存在します。新しいiPhoneが発表されるたびに、アップルストアの前には長蛇の列ができ、SNSではその新機能やデザインが話題となります。MacBookやiPad、Apple Watchなども同様に、「アップルらしさ」を感じさせるデザイン性、ブランド力、そしてユーザー体験の統一感で多くの人を惹きつけています。アップルが提供するハードウェアとソフトウェア、さらにApple MusicやiCloud、Apple TV+などのサービスが連携することで、ユーザーはシームレスな体験を得られる、という点がアップルファンを生む大きな要因でしょう。
しかし冷静に見てみると、アップル製品・サービスでしかできないことはほとんどありません。例えば、最新のiPhoneであっても、電話・メール・インターネット・SNS・カメラ撮影といった基本機能はAndroidスマートフォンでも問題なく利用できます。MacBookが優れている点は確かに多くありますが、WindowsノートPCでも同様に高性能なモデルがあり、価格はしばしばアップル製品より低く抑えられています。Apple MusicやiCloudも、SpotifyやGoogle Drive、OneDriveなどの代替サービスが存在し、機能的にはほぼ同等です。つまり、アップルが提供する「体験の統合感」や「ブランド価値」を重視しないのであれば、他社製品・サービスでもほぼ同じことが実現できるのです。
一方で、アップル製品・サービスは総じて高価です。iPhoneは年々価格が上昇し、ハイエンドモデルでは20万円近くに達することも珍しくありません。MacBookやiPadも同様で、同等性能の他社製品と比べると割高に感じる人が多いでしょう。アップルが価格を下げなくても売れ続けるのは、ブランド力やエコシステムの強さに支えられているからです。ファンにとっては「高いけれど価値がある」ものとして受け入れられていますが、経済的な視点に立つと、その支出が本当に合理的かどうかは再考に値します。
もしあなたが「資産形成」を目標にしているのであれば、アップル製品やサービスに多額のお金を投じるよりも、その資金をアップル株の購入に回すほうが、経済合理性という観点では筋が通っています。アップルは時価総額世界一を誇る巨大企業であり、長年にわたり安定した利益成長と株主還元を続けてきました。過去の株価推移を見れば、iPhoneやMacBookを買う代わりにアップル株を買っていた人は、長期的に大きなリターンを享受しているケースが多いことがわかります。もちろん株式投資にはリスクが伴いますが、少なくとも消費としてお金が消えてしまうアップル製品・サービスの購入よりは、将来の資産形成に直結しやすいという側面があります。
また、アップル製品の寿命や買い替えサイクルを考えると、その総支出は長期的に大きな額になります。例えばiPhoneを2年ごとに買い替え、MacBookを5年ごとに買い替え、さらにApple Musicなどのサブスクリプションを契約し続けると、10年単位で数百万円の支出になることも珍しくありません。このお金をそのまま投資に回して複利効果を享受すれば、老後資金や将来の大きな資産を築くことが可能になります。つまり、アップルの優れた製品・サービスを「消費者として買う」のではなく、「投資家として所有する」ことこそ、より合理的な選択と言えるでしょう。
もちろん、アップル製品がもたらす利便性や満足感、あるいはステータス性にはお金では測れない価値があります。仕事の効率が上がる、クリエイティブな作業が快適になる、使うたびに気分が良くなる、といった要素は生活の質に寄与するため、単純に価格だけで判断することはできません。しかし、資産形成を第一の目標とする場合には、「欲しいもの」と「必要なもの」を切り分け、消費よりも投資を優先する姿勢が重要です。アップルを愛しているからこそ、そのブランドに「消費者としてお金を払う」のではなく、「株主として利益を享受する」という発想転換が、長期的な経済的成功につながるのです。
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