2021年4月に私はeMAXIS Slim 米国株式(S&P500)を購入開始しました。このファンドは米国株式S&P500指数に連動するインデックスファンドであり、長期の資産形成を目指す人気の高い商品です。さらに、信託報酬が低水準に抑えられているため、コスト面でも魅力的です。ただし、為替ヘッジを行わないため、米ドルと日本円の為替変動の影響を受ける点も特徴です。
まず、基準価額の推移を確認してみます。2021年4月26日時点の基準価額は約15,592円でした。一方、2025年8月末時点での基準価額は約34,820円に達しており、設定来高値を更新しています。単純に両者を比較すると、
34,820円 ÷ 15,592円 ≒ 2.23倍(約+123%)
となり、この期間に投資した資金は約2.2倍に増えている計算になります。つまり、100万円を投資していれば、評価額は約223万円になっているということです。わずか4年余りで資産が倍以上になったことは、S&P500の成長力とドル円相場の動きの双方が追い風となった結果だといえます。
この成果を支えている背景として、米国経済の力強さが挙げられます。GAFAをはじめとするテクノロジー大手が世界の需要を取り込み続けたこと、インフレや金融緩和をめぐる政策環境、そしてドル高の進行によって円建てのリターンが大きく押し上げられたことが考えられます。2022年には一時的に株価が下落した局面もありましたが、その後の回復を経て現在の高値水準に至りました。
しかしながら、ここで忘れてはならないのが「元本割れのリスク」です。インデックスファンドであっても、投資対象は株式市場である以上、短期的には価格変動が避けられません。実際に、2022年には米国の利上げや景気後退懸念によってS&P500が−18%の下落を経験し、eMAXIS Slim S&P500の基準価額も大きく値を下げました。そのタイミングで解約していれば、損失が確定し元本割れとなっていた可能性も十分にあります。
また、このファンドは為替ヘッジを行っていないため、円高局面ではドル建てでのリターンが相殺されてしまうリスクがあります。仮に今後、米国株が堅調でも円高が進行すれば、日本円での評価額は目減りすることになります。つまり、為替は利益を押し上げることもあれば、損失を拡大させる要因にもなり得るのです。
このように、2021年4月から2025年8月までの投資成果は非常に良好で、資産が2倍以上に成長している事実は大きな魅力です。しかし、それはあくまで「結果論」であり、過去の値動きが将来も続く保証はありません。株式市場には常に不確実性が存在し、リスクを受け入れたうえで長期的に保有し続ける姿勢が求められます。
eMAXIS Slim 米国株式(S\&P500)の購入することで長期投資の有効性を理解することができました。しかしその裏側には、2022年の下落や為替変動といった元本割れの可能性も存在していました。今後も米国経済の成長やイノベーションに期待が持てる一方で、リスクを正しく理解し、余裕資金で長期的に取り組むことが重要だと考えます。
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