【民間保険不要】日本人はなぜ保険が好きなのか?

保険

日本においては、多くの人が民間の医療保険に加入しています。生命保険文化センターの調査でも、医療保険やがん保険の加入率は依然として高く、日本人の「保険好き」という傾向は際立っています。

実際、私も一時期、親に進められるが民間保険に加入していた時期がありました。しかし、日本の公的医療保険制度は国際的に見ても非常に充実していることを知り、必ずしも民間保険に依存する必要性は高くないことに気づき今では民間保険に一切入っていません。

にもかかわらず、なぜ多くの人が民間保険に加入するのでしょうか?

大きな理由の一つが、テレビコマーシャルの影響です。日本ではテレビは依然として主要な情報源であり、とりわけ中高年層が日常的に接しています。保険会社はその特性を利用し、医療保険やがん保険の宣伝を大量に放映しています。内容は「入院1日あたり○○円」「先進医療にも対応」「大切な家族を守るために」といったフレーズで不安を刺激し、安心感を強調するものです。繰り返し視聴することで、視聴者は「保険に入っていなければ危険だ」という意識を強め、結果として加入を「常識」と感じるようになります。

次に、高額療養費制度についての認識不足です。この制度は、医療費が高額になった場合に自己負担額を大幅に軽減する仕組みで、たとえば年収500万円程度の人であれば、どれほど高額な治療を受けても1か月あたりの自己負担は10万円前後に収まります。しかし、その内容を正しく理解している人は少なく、多くの人が「がんや手術で数百万円が請求されるのでは」という不安を抱き続けています。制度を十分に理解していれば、医療費のリスクは思ったほど大きくないことに気づくはずですが、その情報が広く浸透していないため、民間保険に加入する動機が強まりやすいのです。

こうした背景を踏まえると、日本人が医療保険に過大に依存している現状は、経済的に必ずしも合理的ではありません。実際に、医療保険の保険料を長期的に払い続ける代わりに、その金額をS&P500のインデックスファンドに投資していれば、より高い経済的効果を得られる可能性があります。S&P500は長期的に年率平均5〜7%程度のリターンを期待できるとされており、数十年にわたって積み立てれば大きな資産形成につながります。仮に毎月1万円の保険料を30年間投資に回した場合、元本360万円に対して運用益を含めて数百万円規模の資産を築ける可能性が高いのです。これに比べ、医療保険で受け取る給付金は「入院日数×日額給付」といった限定的な範囲にとどまることが多く、期待値で考えるとインデックス投資の方が合理的であるケースが少なくありません。

もちろん、保険には「万が一の備え」という心理的な安心感があります。しかし、日本の公的医療保険と高額療養費制度がすでに最低限のリスクを十分にカバーしている以上、その安心感のために長期的に高額な保険料を支払い続けるのは必ずしも効率的とはいえません。むしろ、制度を正しく理解し、余裕資金を資産運用に振り向ける方が、将来的な医療費や老後資金への備えとして合理的だと考えられます。

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